- 10年以上乾癬専門外来を経験した皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会が承認する生物学的製剤使用可能なクリニック
- 高機能な光線機器であるVTRAC、ダブリン3シリーズNeoLuxを装備
- 生活指導や悪化要因のアドバイスなど個々の患者に合ったオーダーメイド診療
当院は乾癬/アトピー性皮膚炎における
生物学的製剤使用承認施設です。
横浜市大附属病院や横須賀共済病院にて10年以上乾癬外来に従事してきました。
その間、2010年から注射剤の生物学的製剤が日本に導入されるようになってから劇的に改善する患者様が多くみられるようになりました。
この10年間は乾癬患者様にとって良い意味で変革期と言って良いでしょう。
乾癬は図に示したように外用、内服、光線療法、生物学的製剤の注射による治療というように症状に応じて段階的に治療を考えていく疾患です。
しかし、基幹病院の乾癬専門外来における実際の診療では一筋縄ではいかない患者様も経験してきました。そんな患者様には外用・内服療法の工夫、内服と光線療法の併用、生物学的製剤の導入などまさに一人ひとりに合ったオーダーメード療法が必要だと実感しております。
当院では基幹病院と協力しながら、個々の患者様にベストな乾癬治療を目指していきたいと思っております。
乾癬の内服薬としては、ビタミンA誘導体(チガソン®)、PDE4阻害薬(オテズラ®)、メトトレキサート、免疫抑制剤であるシクロスポリン(ネオーラル®)があります。
外用のみでコントロールできない場合は内服の適応になります。
この内服薬の選択は、年齢、挙児希望の有無、関節炎の有無、経済的な理由、基礎疾患などにより選択が変わります。
乾癬患者様の免疫細胞や皮膚の表皮組織では免疫の働きを調整するPDE4という酵素が過剰に生産されており、免疫細胞のリンパ球が放出するサイトカインという炎症を起こす蛋白の産生が過剰になり免疫のバランスを崩しています。
本薬は完全に免疫機能を抑制するのではなく、炎症性サイトカインを部分的に抑制することで正常な免疫機能に戻すことで乾癬を改善させるため、免疫低下による感染症を引き起こすリスクは少ないと考えられています。
ただし内服1~2か月の初期の副作用として腹部症状(下痢、腹痛、食欲低下など)や軽い頭痛がみられることがあるため徐々にならすため図のようなスターターパックから開始することになっています。
光線(紫外線)療法は、紫外線の「免疫の働きを弱める作用」を利用した治療方法であり、紫外線を出すランプで皮疹に直接照射します。
紫外線にはいくつか種類があり、乾癬治療では皮膚に悪い影響を与えにくく、かつ、皮膚の細胞増殖や炎症を抑制する作用をもつUVA(長波長紫外線)、UVB(中波長紫外線)が用いられます。
当院では、この光線機器にはこだわりました。
「全身ナローバンドUVB療法」と「エキシマライト」があり、病変部の場所や範囲により使い分けたり、他の治療法で難治な皮疹に照射します。光線療法を行う頻度は、一般的には外来では週1~2回(だいたい1回5分以内)で、20回を1クールとして治療が行われます。乾癬患者の80%に効果があると言われています。
乾癬以外にも光線療法が保険適応のある以下の皮膚疾患があります。
ナローバンドとは?
太陽光に含まれる紫外線(UVA・UVB・UVC)のうち、中波紫外線(UVB)の中から有害な波長を取り除き、治療効果の高い、非MK-0034 ミッシェルクラン常に幅の狭い範囲(ナローバンド)の波長域311nmを用いた副作用の少ない安全な光線療法です。
これまで飲み薬や塗り薬ではなかなか良い効果が得られなかった患者様でも、紫外線治療の併用によって相乗的に改善していくことが可能です。
全身型ナローバンドとして当院ではシネロン・キャンデラ社のNeoLuxを導入しました。国内では全身を一度に照射する機器はこれしかありません。
フィリップス社製のナローバンドUVBランプを48本搭載し、全身に対して十分な紫外線を均一かつ短時間に当てることができます。
例えば1000mJの全身照射を1分半以内に終了してしまいます。
三面鏡タイプのダブリン7シリーズ(電球10本装着)では8~9分かかります。
エキシマライトは、ナローバンドUVBに比べて輝度(照射率)が高いのが特長で、その中でもVTRACは、最も高い輝度を有しています。
照射量(mJ/cm2)=照射率(mW/cm2)×照射時間(s)により、輝度が高いほど、同じ照射量を短時間で得ることができます。
高輝度の光により、一般的なエキシマライトに比べ、1/3以下の短い時間で照射が可能です。
他の紫外線療法に比べ、早期の効果発現、少ない治療回数、より少ない照射量であった症例が報告されており、総照射量の減量につながり安全性が高いと考えられています。
普通に外来診療にきて、病変部を数秒間だけ照射してお帰り頂けます。
当クリニックは令和2年11月に日本皮膚科学会が認める生物学的製剤使用承認施設になりました。横浜市民病院皮膚科と連携して導入・維持を行って参ります。
生物学的製剤は、乾癬を引き起こすサイトカインを直接抑制するため、高い効果が期待できます。一方で、これらのサイトカインは体を守る免疫の働きも持っているので、生物学的製剤で働きを抑えることにより、風邪などの感染症にかかりやすくなる可能性があります。
生物学的製剤は注射、もしくは点滴で投与します。注射や点滴は病院やクリニックで行いますが、注射で投与する生物学的製剤の中には、患者様自身による注射(自己注射)が認められているものもあります。自己注射をする場合は、医療関係者の指導のもとで、自己注射のやり方を患者様自身で習得して頂く必要があります。
また自己注射をする際は主治医に指定された投与間隔や投与量を守って使用する必要があります。自己注射がしやすいように開発されたペンタイプの薬剤もあり、打ちやすいだけではなく注射針が見えないなど工夫されたものもあります。
連携病院にて行います
検査に問題なければ薬剤を選択して投与開始。
当院にて行います(点滴投与のレミケード®を除く)
2つのパターンがあります。
自己注射の場合、通院は2,3カ月に1回となり、その際に全身検査(採血)を行います。